ちょままちょままま

何でも書きます

Runway以前/以後「応援」と「期待」の転換点

 

ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』には『Runway』という曲があります。

今日はこちらの楽曲が持つ意味について考えていきたいと思います。

 

要点だけ掻い摘んでいきますが、

『Runway』は10月度Fes×LIVEにて初披露された楽曲で、現行(多分)唯一のソロ歌唱が特徴的な一曲です。

 

歌唱を担当するのは当時高校1年生の村野さやか。

沙知先輩から問われた「スクールアイドルをやる理由」に対するアンサーソングとしての位置付けがこの『Runway』です。

 

夕霧綴理に憧れ魅了され、スクールアイドルを始めたさやか。

長く競技の道にいた彼女にとっては、順位付けされることは当たり前で、ラブライブ!の大会に出ることについてもそういうものとして捉えていました。

 

そんな中沙知先輩から先ほどの問いかけを受け、普段何事もそつなくこなす、さやかだけがその問いに答えられずにいます。

 

梢先輩に聞いてみるも、自分で見つけないことにはあなた自身が納得できないでしょうと見透かされる始末。

 

半ば途方に暮れながら黄昏ているところに、クラスメイトから「応援してるからね」「期待しているよ」と声がかかります。

 

そこで彼女はハッとして沙知先輩の元へ。

 

村野さやかにとってのスクールアイドルをやる理由。

それは「多くの人からの期待に応えること」

沙知先輩を納得させるため、さやかはライブに来てほしいと言い、そこで披露したのがこの『Runway』だったのです。

 

このエピソードが描かれた活動記録の12話のタイトルは「期待はおもい!」

文字通り、期待はする側からの想いであり、それは時として途轍もなく重いものでもあります。

 

おそらく、応援は「もらうもの」で期待は「応えるもの」

そういう線引きが彼女の中にあって、それが明確化されたのがこのエピソードだったと思います。

村野さやかにとっては「期待」が力になり、それに応え続けていくんだと証明するかのように1人舞台に立ち『Runway』を披露した姿には、高校1年生とは思えない凄まじさがありました。

 

 

 

といった具合に『Runway』という曲は村野さやかを語る上においては不可欠な存在でして、なぜ10月のストーリーを今更語っているかと言いますと、

ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 2nd Live Tour 〜Blooming with ○○○〜』

にてこの楽曲が披露されたためです。

 

何らかで幕張公演2日目を観た方は分かると思いますが、この日『Runway』は3度繰り返されました。

1度目と2度目はおおよそポジティブではない理由で。

take2、3と回数を重ねるごとに会場からの声は大きくなっていきました。

 

それは間違いなく「応援」でした。

「期待」に応えるために歌う『Runway』で会場中から「応援」をもらう。

それも1日目のMCで「ラブライブ!に出た証であるLttFの衣装でこの曲を歌うことでさらにたくさんの期待に応えられるようになった姿を見せる」と語っていたその翌日です。

 

村野さやかとしてパフォーマンスすることに並々ならぬ矜持を持つ野中ここなさんは一体どんな気持ちであの時間を過ごしたのでしょうか。

 

想像するだけでもつらく恐ろしく、自分だったらもうステージに戻ってくることもできないような気がします。

 

応援した人たちが悪いとは思いません。

多分心から出た言葉でしょうし、ラブライブ!にはピアノの前例があったりもします。

 

ご本人はその後のMCでもはっきりと「期待に応えることができなかった」と語っています。

 

美談にするべき話ではないのでしょう。

 

ですが、あの状況から最後までライブを駆け抜けた野中ここなさんの精神性は、間違いなくスクールアイドルクラブ、DOLLCHESTRAとしての1年間を経て成長した村野さやかそのものでした。

 

ご本人も「どこかでまた期待に応える姿を見せたい」と前を向いていました。

もしその場所があるのだとしたら、ファンからの「期待」はこれまでよりももっと大きなものになるはずです。

 

 

今度こそ失敗は許されない、大変な道を自ら選んだそんな2人は本当に尊い存在だなぁと再確認したというお話でした。

 

 

 

あなた花宮初奈のボイスサンプルを聴きなさい

こんにちは。

蓮ノ空のこと好き好きライフで毎日がholidayな私です。

さて、本日のテーマですが、表題の通り。

 

花宮初奈さんのサンプルボイスはこの世の宝という話です。

 

騙されたと思って一度聴いてみてください。

 

自分は先日怒涛の10連勤の最終日電車に乗りたくなさすぎてこちらのサンプルボイスを再生したところ、みるみる元気が湧いてきました。

これがカンフル剤かと。

 

かのケリー御大もこちらのサンプルボイスを肴にしっぽり飲酒されているとか。

 

ガチでオロナインくらい何にでも効く印象があります。

 

今回は7つあるボイスのレビューを書きますので、一式聴いてオタクフェイスが治まってからお読みいただけると嬉しいです。

 

ご視聴はこちらから

花宮 初奈 | 株式会社青二プロダクション

 

 

 

 

 

 

▽以下レビュー

 

【セリフ1】

常人ならこれをド頭には持ってきません。

そもそもボイスサンプルなんてものはプロフィールシートなのであります。

私のセールスポイントはこれですと満を持して送り出すエースカードが、彼女にとってはこれです。

 

しかしこれ、何百回何千回聴いてあれこれ考えてみるとセルフプロデュース的にはかなりいいのでは?思ってしまいます。

 

というのも、まずは舞台設定。

激務に追われる社会人男性の彼女役でしょうか。2人は通話中です。

今女性声優にお熱なみなさんは学生でしょうか?多くの場合違うと思います。

僕らが学生時代にアニメを観ていた時間は、今の若い子たちからすると数多あるコンテンツとの競合に晒され、第一候補ではないのかもしれません。

ターゲット設定がばっちりです。

 

続いて花宮さん演じる"彼女"の設定。

話しぶりからするに何度か連絡を取ってやっと折り返しがあったのだと想像します。

それくらい依存しているにもかかわらず、仕事が忙しかったと聞くとスッと引き下がります。

オタクにとって都合のいい女性像がそこにはあります。

もちろんそんな女性はいませんし、いたとしても俺たちキモオタクのところには現れません。

これをすることで何が起こるかというと、オタクに幻影を見せることでライフステージを上げることを阻害することができます。

一生オタクとして生き続ける哀しきモンスターの出来上がりです。

 

あとは最後のセリフ聴かせれば全員死にます。おしまい。

 

【セリフ2】

古き良き平成ヒロインの薫りが心地よいです。

ここでも場面設定が秀逸で、セリフ1で取りこぼした大学生層へのアプローチが見えます。

バイト、サークル仲間、飲み会というワードを受容できるぎりぎり社会性を保ったライトファンの獲得にも抜かりがありません。お見事と言うより他ないです。

 

【セリフ3】

これを3番手に置く理由をこじつけていきましょう。

正直これをご褒美と受け取れない人もいると思うんですよね。

自分が詰められてるような気がしてしんどくなっちゃうみたいな。

ですが、ここまでのボイスの並びがそれを緩和します。

セリフ1では付き合っていて、セリフ2ではお互い気になる関係、セリフ3では多分奥さんです。

順番的に言うと2→1→3が自然です。

時間軸がおかしくなっていることで、あえて自分ごと化させない見せ方ができているのではないでしょうか。

これが時系列通りだと僕らはもう花宮初奈さんとの存在しない結婚生活を妄想してしまいますので、とてもつらい気持ちになること間違いありません。いや、嘘ついたお前が悪いだろ。

 

【セリフ4】

イカロリー冒頭三部作の世界線を経て、こちらです。

多くの人にとって馴染みのある口調と声色で安心感があります。

ある種箸休め的な立ち位置でしょうか。

 

【セリフ5】

はい、これです。

完全に4は衝撃に備えるための準備期間でした。

一旦回復させたのだからフルスロットルでいいでしょと言わんばかりに救いがないです。

大人なんだから→ずっと待ってたんだから→もういい帰る

の下げて上げて下げるはHoliday∞Holidayもびっくりの急上昇して急旋回、急下降して急旋回です。

 

【セリフ6】

これも4に近い感じがしますね。

これらにサンドされたセリフ5の危険性が垣間見えます。

あんまり混同してもなぁとは思いますが、来年のラブライブ決勝に3ユニットで勝ち残って最後のステージに上がる直前の102期の会話とか妄想すると気持ちがええです。

 

【セリフ7】

この人なんと関西人なんですよね。

それも割とコテコテ寄りの関西弁を話します。

今回のシチュエーションは、それよりももっと訛ったそんな奴おらんやろ的アニメ関西弁。

それでいてネイティブだから違和感なくかわいい。

大正時代の女学校で親友と愚痴を言っているような雰囲気からテストの存在に気付いて「終わったぁ…」現代風です。

100年分くらいの歴史がドッと押し寄せるような濃密な27秒でかなり好きです。

 

 

〜最後に〜

こう言語化してみると、ただのサンプルボイスが組曲のように思えてきました。

えらく芸事に造詣の深い花宮さんなので、もし意図してやっていたら僕はもう一生ついていきたいと思います。

 

そんな素晴らしい作品群ですが、ご本人からボイス更新の予告が出てしまっています!!

https://x.com/hanamiya_nina/status/1731700907308687634?s=46&t=pc7aoS8ssKiQDoP9SFbDaw

(2024年2月現在更新前)

 

原稿もできたそうなので、近いうちに聴けなくなってしまいます。

 

自分の終末期、朦朧とする意識の中で思い出すのがこのサンプルボイスでありますように。以上です。

スリーズブーケは令和のハルヒでありまどマギ

ご無沙汰です。なんやかんやで更新頻度は年一くらいで落ち着きそうです。

 

みなさん、スリーズブーケはご存知ですか?

 

ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ発の同女学院1年の日野下花帆と2年乙宗梢のユニット、スリーズブーケのことなのでありますが、

 

これがまぁいいのなんのって!!

 

いいところと言われるとめちゃくちゃあるんですが、今回はその楽曲にフォーカスしてタイトル回収していきたいと思います。いやぁしかし日野下花帆を演じる楡井希実さんがたまに見せる強い女の顔がたまらんのですよ

 

ではいってみましょう。 

 

【スリーズブーケの涼宮ハルヒ性】

 

いきなり何を言ってるんだという感じですが、僕がスリーズブーケに触れた割と早い段階で持った感想です。

 

ちなみにですがその当時の僕は蓮ノ空本編ストーリー1話のみ視聴。せーはす全話視聴という声豚的推し活をしてたので、楽曲については正直「ほぇ〜好きな曲多いなぁ」くらいの触れ方だったのです。

 

それこそ作業用BGM的な摂取をして、しばらく聴いているとだんだん歌詞も頭に入ってくるようになるんですね。

そこで違和感を覚えます。

 

「スリーズブーケの曲、別になんてことない日常を綴っているだけなのでは??」と

 

ぼーっと受容する分にはなんか壮大なスケールの話に聞こえてたんですが、

 

たとえば「Mix Shake!!」は我慢せんと好きなだけ飲み食いしようぜですし、

 

自分がスリーズブーケに落ちるきっかけとなった名曲「眩耀夜行」だってみんなが空見上げてるうちに抜け駆けしちゃおうよ、をエモーショナルに歌っているだけなのです。

 

じゃあなぜ僕はスリーズブーケにでかいスケールの世界観を感じたのか?

 

それは多分歌詞に散りばめられた言葉によるものだと考えています。

 

例に挙げた2曲ですと、

前者は「冒険」「瞬間」

後者では「誰も知らない場所」「神様」「銀河」といった、おおよそ先ほど紹介したそれぞれのテーマに対しては強すぎる表現が使われています。

 

ここまで読んでくれた豚諸君は平成の時代から生き長らえる大キモオタク(ゾルトラーク)だと信じているので心当たりがあると思います。

 

そうです、これセカイ系のフォーマットじゃないですか??

 

僕とキミの何でもない関係性が、巡り巡って世界を揺るがすとんでもない出来事の発端になっている、みたいな俺たちの好きなアレです。

 

そして受け手の我々がそういう感想を持ってしまうのはスリーズブーケ(主に梢センパイの方だと思うのだけれど)が2人だけの世界に浸っているから。2人で世界は完結しているのだから、日常の些細な出来事だってそれは大冒険であり、神様にも笑われちゃうようなことにもなるんですよね〜。たまらん。

 

【スリーズブーケのまどマギ性】

 

 

推敲していてハルヒ編えらく雑な締め方になっていて驚きました。

さてさて、もう一つのテーマに移ります。

 

ここまでの内容からも何となく言いたいことは伝わっているかもしれませんが、

「梢センパイあなた暁美ほむらじゃない?」です。

 

これも蓮履修の割と早い段階で思っていたことなんですが、実はいまいちしっくりきていませんでした。

 

 

確かに梢センパイによる花帆さんへの特大感情は暁美ほむら鹿目まどかへのそれと比肩するものだとは思いますが、

とはいえほむらちゃん同じ時間を何度も巡ってるしなぁ…という雑念が頭の隅にチラついていました。

 

なんならこの怪文書も構想段階では『スリーズブーケは令和のハルヒ』という題目を付けて前半部分で終わっているはずなのでした。

 

後半セクションを生み出した本質情報、それは「伝統曲」という概念です。

 

どうやら蓮ノ空のスクールアイドルクラブには各ユニットに代々受け継がれている伝統曲なるものがあるらしいと、数日前に知りました。

 

当代スリーズブーケが歌う楽曲の中に、彼女らで作ったものとそうでないものが混じっているということです。

 

この伝統曲の存在により、歴代スリーズブーケの連綿たる関係性を背負った日野下花帆と乙宗梢という構図が浮かび上がってきます。(そこにある一瞬を永遠にしよう)←そのままカメラのキャッチコピーになってほしい

 

さらに、蓮のスクールアイドルクラブ、スリーズブーケにどのくらいの歴史があるのかは語られておらず、

歌うことに決めた楽曲に対して、実は梢センパイは楽曲を生み出した当時の2人のことをよく知っているのかもしれないし、もうずっと歌われていなくて、誰が作ったのかも分からないような歌を花帆さんのために掘り出してきたのかもしれない。エグい。

 

かくしてスリーズブーケ解釈に"歴代のスリーズブーケの存在"という重層的な厚みが加わりました。

 

何代遡っていけるのかも分からない、これまでのスリーズブーケの歴史全部を花帆さんに向けているのだとしたら、もうこれは魔法少女スリーズブーケとしか言いようがありません。本当にエグい。

 

 

【最後に】

 

先週蓮ノ空のライブに行った感想は「なんか年齢層高くない??」でした。

 

かく言う僕もμ'sでラブライブを離れ、りえーらで戻ろうとして戻れず、今に至るわけですが、

ラブライブ離脱層が割とたくさん戻ってきているらしいです。

 

そんな旧時代のオタクたちに受け入れられる要因の一つとして、今回紹介したような平成のフレームワークによって表現される安心安全の世界観づくりがあるのではないでしょうか?

 

ライブでは村野さやか役の野中ここなさん(17)←犯罪

が「ずっとライブがいいよね、でも先に進まないとダメだから仕事とか勉強頑張ろうね(意訳)」的なことを仰っておられました。

 

自分の頭にはこの怪文書の構想があったので、そんな素晴らしくも胸を打つ名スピーチを聴きながら光の中を進むなっすちゃん(17)と、ただただ過去の楽しかった時代の追体験にしがみつき、闇に吸い込まれていく自分(アラサー)との対比に吐きそうになっていたという話です。

 

でもでもでもストーリー演者楽曲ライブアプリマーケ戦略もめちゃくちゃ良いからみんなも蓮ノ空応援しような!!!

 

 

 

怪文書に寄せる怪文書

先日ひなビタ♪に関するとある怪文書を見つけた。

著者はひなビタ♪とりわけ登場人物の1人霜月凛を敬愛するファンの方だ。

哲学に造詣が深く、聖書研究も専攻の一つのようでひなビタ♪メインストーリーを原典とした考察記事はキャラ理解において大変参考になる。

哲学屋特有の文体で読みづらいことは確かだが、構成は非常に巧みなのでぜひ読んでみてほしい。かく言う私は良い文章に触れるとそれに引っ張られるところがあり、こういうテイストで今日は発進している。


さて、冒頭紹介した怪文書に話題を戻すが、これはひなビタ♪に関する背景知識がないと到底読める代物ではない。

そこで、議論したい部分のみを要約するが、『倉吉市で行われた霜月凛の生誕祭イベントが、祝われるべき彼女にとって不快なものになっている』ことへの嫌悪を彼は語っている。

霜月凛というキャラは基本的に静寂を好む。

その彼女の誕生日を祝うイベントが喧騒と本編ストーリーに依拠しない内輪ネタ(それも霜月凛が嫌うであろう程度の低い笑い)で消化されたことに対しての怒りなのである。

 

この意見は至極真っ当なように聞こえる。

祝われるべき対象にとって、祝福がうれしくないものであってはならない。


が、一方で現在ほとんど進展のないひなビタ♪に興味を持ち、この上なく交通の不便な倉吉市に集まり、地元に潤いをもたらす大多数のファンにとっては、生誕祭とは「同じキャラを愛するオタク同士でワイワイ騒いで自分自身が気持ち良くなるための行為」という意味合いが強い。


怪文書の作者自身も当然ひなビタ♪が終焉のすぐ近くで綱渡りをしていることを憂いているが、皮肉なもので、その状況からIPを救うクモの糸たるのは、彼ではなく、彼が毛嫌いしたオタクたちなのである。


というのも、ひなビタがKONAMIの企業活動の一部という前提があるからだ。


ファンコミュニティにおけるある種異常な空気感の中で、グッズやライブのチケット、楽曲CDを購入し、会社の利益に貢献する大衆オタクがそれこそアイマスラブライブ級に増えればひなビタ♪は日の目を見ることができるだろう。


ここに著者の自己矛盾が見られるのだが、もう一つ深掘りしてプロモーションの観点で考えてみる。

 


フラットな状況を想定すると、アプローチすべきはマジョリティのオタクの側なのであろう。


しかし、ひなビタ♪コンテンツの在り方が問題をややこしくする。


このIPのターゲット像は旧来的なオタク、誰よりもその作品に詳しくありたいと願うだけの強度を持ち合わせた原義のオタクであり、ひなビタ♪を本当の意味で楽しめるのは怪文書作家の方なのである。


上記内容を前提条件としたとき、それでも我々は多数派のオタクだけを見続けられるのだろうか?


たとえばこの2022年、ひなビタ♪を窮地から救うドラスティックな方法があるとすれば、それは恐らく狭義のオタクを蔑ろにするものになるのだが、それでも実行すべきなのだろうか?


私はひなビタ♪はこんなところで燻っているタマではない。いつか必ず軌道に乗ると考え、それを一切疑ってこなかった。

が、この怪文書と著者の並々ならぬ思いに触れてこのような疑問が生まれたのだった。

 


考えてみるとリメイク作品における宣伝活動なども同様に思える。

いわゆるミーム化された一部分だけを切り取ったプロモーションが、本当の意味で作品を愛する人たちを傷つけてしまってはいないだろうか。


プロモーションが全員の購買意欲の底上げにつながることが最善ではあるが、往々にしてそうはいかず、アンチや批判コメントに晒されるものだ。

 

そのタイトルの特性と背景をきちんと読み解いた上で、最も取るべき手段を講じていく必要がある、というのが本件による気付きだ。

 

 

 

 

まぁでも急に自分の好きなコンテンツが鬼滅の刃クラスの市民権を得られるボタンがあったら押しちゃうのかなぁ、ただしあなたの好きな気持ちは完全になくなりますとかだったとしても。悩む。

 

太陽も嫉妬しちゃうかのちぃの尊さに乾杯

 

どうも。

職場で書きたくもない文章書かされて嫌気がさしてきたので、久しぶりの怪文書執筆です。

 

さて、そんな本日のテーマなのですが

 

『常夏☆サンシャイン』がガチで良い!!!

 

です。

 

これが何なのかというとラブライブ!スーパースター!!のアニメ挿入歌です。

https://youtu.be/XR3h_agJgXQ

 

自分でもびっくりなんですが、この期に及んでラブライブに回帰してしまいました。

 

きっかけはほんの些細なことで、ワクワクさんの副反応で取った休みにアニメを一気見したからです。

 

μ's finalのあの日あの場所にラブライバーの気持ちは置いてきたはずなのに人生何があるか分かりません(実はAqours1stもちょっと行こうとはしてた)

 

20代後半の海、新世界に突入してなお、相も変わらずアニメと遥か年下の女性声優のわちゃわちゃにブヒっているとは情けない。

 

けれども仕方ないのです。

いきなり、気づいちゃったんですから(ユーフェミア)

 

じゃあその常夏☆サンシャインの何がいいかってお話をします。

 

※アニメ本編のネタバレを含みます

 

 

 

 

 

正直これは『かのちぃの関係性』その一点に凝縮されると思います。

 

かのちぃとは澁谷かのんと嵐千砂都のカップリングのことで、ラブライブシリーズお決まりの幼なじみカプです。

 

で、この曲はというとスクールアイドルとして活動するかのんと、一歩引いた(引かざるをえなかった)立場だった千砂都の想いのズレが清算され、4人になった結女スクールアイドルが披露した楽曲です。

 

冒頭貼っつけた試聴動画みてもらえば分かるかと思いますが、ゲンキデルメロディーなんですよ(ロックマンエグゼ5のネタって分かった人とは仲良くなれます)

 

普通この手の文脈を孕んだ曲ってしんみりバラード系になると思いませんか?

もちろんストーリーの流れなどもありはしますが、そこにかのちぃの、ラブライブらしからぬ関係性が見えてくるのです。

 

ラブライブらしい幼なじみカプ展開とは、幼なじみであることのアドバンテージがスクールアイドルをやることによって生まれた新たな関係性に取って代わられてしまうことへの不安や焦燥、引け目や嫉妬のこととさせてください。

 

余談ですがここでソウルジェムを濁らせるのは往々にして主人公にとっての幼なじみキャラであるところを上原歩夢→高咲侑への特大感情に差し替えたのは虹ヶ咲っぽさがあっていいなと思います。

 

余談部分も含めて、この幼なじみクライシスはずっと一方通行でした。

きっとそれは初代、サンシャインと底抜けに明るい主人公が据えられていたからで、また高咲侑のある種男性的な側面によるものだと考えられます。

そしてこの関係性がフォーカスされる際には、周囲を巻き込み、大きく挑戦していく相手に対して自分の価値は?と考えてしまう、その発露からのメンバーのサポートがあり、雨降っての和解が描かれがちです。

 

そういった前提に立った上でかのちぃのパターンを見てみると、お互いがお互いを想う故にできた軋轢を埋めていって常夏☆サンシャインに繋がっていること、その双方向性が分かります。

 

かのん目線では、自分にできないことをできるようになると言い放ったあの日のちぃちゃんへのリスペクトからダンスに専念させようとする。

 

千砂都目線では、本当は一緒にスクールアイドルをやりたい思いを持ちつつ、かのんちゃんに守られてばかりの弱い自分からの脱却を枷として抱え込む。

 

同じ方向を向いているはずの2人の少しずつの、そしてだんだん大きくなったズレの修正が結実した常夏☆サンシャインなのです。

 

あくまでも目線合わせであって認識の改めではないからこそ、アップテンポなサマーチューンを持ってくることができたのではないでしょうか。

 

これまで(特に虹ヶ咲)と比較すると少しマイルドな幼なじみ回だったでしょう。

 

百合豚のみなさんには少し物足りなかったかもしれません。

きっとかのちぃの「好き」はloveじゃなくてlikeです。

 

だからこその

"キミがくれる気持ち 熱く深く感じて フォーリン・ライブ"

なのです。

 

そんなかのちぃの極めて高純度の友情に生まれた常夏☆サンシャインにラブライバーの血が蘇ったジジイがいるというお話でした。

 

 

 

 

SSPPに参加して思うひなビタ♪の在り方

先日、といいますか2018年末に

 

EDP presents ひなビタ♪ ライブ2018~Sweet Smile Pajamas Party~

 

こちらに参加してきました。これがバカに良いライブだったのです。

ほんとはすぐに書きたかったのですが、そこで頂戴したオタクウイルスと卒論提出でしばらく空いてしまい、ようやく時間もできたので怪文書を作成しました。

 

まぁですね、このライブがバカに良かった(2回目)(この表現は先日プロ棋士菅井竜也前王位が反則負けした1手を評して「バカに良い手」と仰られたところを原典としています)んですが、会場が豊洲PITでキャパが3000くらいですか。

それが埋まらないんですよ、バカに良いライブだったのに(3回目)。

なんだ、ひなビタ♪って存外若いコンテンツなのかと思うかもしれませんが、なんと開始から丸6年が経過した長寿コンテンツなのです。

6年続けるようなコンテンツがキャパ3000を埋められない。そこに思うところがあったので今回の怪文書のテーマはその辺になります。

 

さて、私なりの結論から言うと「ひなビタ♪というコンテンツそれ自体が時代に逆行的」だということです。

オタクのマジョリティが求める方向に向いていないからこのような事態になっているのだと、そう言いたいのです。

決して私はそれが悪いこととは思ってはいません。現に私はひなビタ♪がとってもとっても大好きなので。純粋に客観的な意見として捉えてもらえればそれがうれしいです。

 

ではそのマジョリティオタクってなんなのでしょう。

昔のこと、それこそ我々が生まれる前とかのことを思えばオタクの門戸は広がり、その在り方も多様化してきました。陰キャキモオタクの対岸にいるような華やか芸能人がオタクを自称するのを目にする機会も増えました。

このようなオタク領域の拡大によってコンテンツ消費の在り方も多様化しています。

元々いたオタクって、コンテンツに対するあらゆる情報を網羅し、人よりも少しでも多くの知識があることがステータスだった印象がありますが、そういうオタクは今や奇人扱いされても文句が言えないほどに駆逐されてしまったように思います。

批評家だったり思想家だったりする東浩紀は「データベース消費」という言葉を使ってこれを説明しています。

雑に言うと00年代以降のオタクはコンテンツを全体としてではなく、自分の気に入った要素(=データベース)でのみ楽しむようになったということだと思ってます。

それは例えば特定のキャラにのめりこむであったり、同人作品ばかりを推すであったりするんですが、ここでは比較としてひなビタ♪と同じくガールズバンドを題材にした現覇権コンテンツこと「BanG Dream!」(バンドリ)を見てみましょう。

バンドリの楽しみ方ってすごくたくさんあると思うんです。音ゲーをやるも良し、ゲーム内ストーリーで悶えるも良し、アニメを観るも良し。好きな声優を追うこともできるしラジオやリアルイベント、演奏にコミカライズなんでも来いといった感じです。

最近流行しているコンテンツを思い出してみると結構こんなのが多いような気がしませんか。というのもメディアミックス大好き芸人の某KAWAさんが大抵の場合噛んできてるからとかいうのはまぁ置いといて。

つまりこうしたオタクのオタク性の変容に対して、そこに何でも用意できるような、ほしゆめみたいなコンテンツがオタクの心を掴んでいるというわけです。

 

対するひなビタ♪はどうでしょうか。私個人の見解ですが、コンテンツの1要素だけを切り取るより、包括的に触れていった方が圧倒的に楽しいように、ある種旧来的なオタクの楽しみ方をした方が良いように出来てしまっています。

少し脱線しますが先日ひなビタァ()数名とここなつ(ひなビタ♪の派生ユニット)のライブ映像を鑑賞していた時の話です。ライブも終盤、そこで「ツーマンライブ」という少しでもひなビタ♪のストーリーをかじった者なら多動にならざるを得ない楽曲が披露され、当然我々は多動してたのですがその横にいた真姫推しのラブライバーみく推しのPクリス(以下略は1人スマブラに興じているのです。

そのぐらいの温度差が平気で生まれてしまうコンテンツなのです。

じゃあみんな全部を追っかければいいのでは?となりますが、ここの壁が厚いのなんのって。同作はアニメ化などされておりません。主な展開はFacebookや、公式サイト上で行われています。キャラたちの会話を模した投稿で楽曲の背景が語られ、時期を見て動画配信で楽曲が発表されるというのが基本的な流れですね。

これが大変!開始2012年のコンテンツですから丸6年が経過した膨大な量の文章を掘り進めなければなりません。展開媒体が媒体なもんで基本的に文字しかありません。英国ファンタジー研究者の脇明子が指摘するように現代の若者は視覚的な刺激で物語を消費することに慣れすぎています。つまり活字離れ甚だしいということです。ターゲットにしたいはずのその層が文字を読めない(失礼)のだからハードルの高さは推して知るべきです。ほんとに朝読書とかいう文化はなにをしているのか。あと基本的に与えられるキャラのイメージは静止画です、動いてくれません。厳しい。

こんな風に、好きなように好きなコンテンツを消費してきたオタクには、ちょっとひなビタ♪良いから追ってみてと言われたくらいでどうにかできる代物ではないのです。

きっとほとんどは音ゲーから入ってじわじわハマっていったオタクでしょうし、全くのゼロから推したとなると一体どの程度いるのやら。

全然関係ありませんが、私は14歳の誕生日に「お前もシンジ君と同い年だからこれを観ておきなさい」と叔父からエヴァのアニメと旧劇の円盤をプレゼントされ、感想を強要されたのですがそれくらいの厄介さかなとも思います。ついでにこの時に目押しも教わりました。

 

 

ではひなビタ♪はどうすればよいのか。

6年もやって今更大衆に迎合しろというのはきっと作り手も望まないでしょう。そもそもこういったコンテンツの在り方にしたのはひなビタ♪おじさんです。おそらくわざとやっています。物語の舞台が寂れた地方都市であることもひょっとすると数を減らす旧来的なオタクのメタファーなんじゃないかとさえ私は勘ぐっています。

 

そんな中都合の良いことに同じ制作陣で「バンめし」というコンテンツが始動しました。こちらもひなビタ♪と根幹は共通するような展開の仕方をしていますが、少しずつ変化も見られます。媒体がアメブロになったり、最近手に入れたLive2Dの技術を活かして動く演奏シーンなどなど。ちょっとだけとっつきやすくなっています。しかも今ならすべて追ってもそんなに時間がかからない!あとはどこかのアニメ屋が目を付けて映像化でもしてくれれば、、、といった感じですか。とにかくこちらも今後の展開に期待するしかありません。

 

最後に、さんざんハードルが高いと書きなぐりましたが、それでも私はひなビタ♪に触れてみてほしいなと思っています。私自身、ひなビタ♪を知ったのは友人のアニソンDJがたっまたま楽曲を使用していたからでそこからです。そんなきっかけでも先日のライブに参加してあぁこのコンテンツに出会えてよかったと心から思えました。きっと後悔はしないのでまずは楽曲からでも、どうかひなビタ♪を日向美ビタースイーツをよろしくお願いします。

 

おまけ

 

SSPPをみて思ったひなビタ♪の良いところ

 

・ライブの構成が良い

こんなものだいたい自分の推しコンテンツのライブ行けばそう思うのでは?となりますが、決してこれは好きな曲をたくさんやったからとかそういう意味では言ってません。

そうではなくてやらない曲が素晴らしいなと思いました。

例えばまり花には「ミラクル・スイート・スイーツ・マジック!!」という曲がありますが、この曲は今回披露されていません。というのも同曲は作中、めうプロデュースにより作成されたという背景があり、めうが参加していない、同級生トリオ(トリオって表現も昭和的ですよね)だけのSSPPには不相応であるからです。

5人そろったときにやった方が我々に与える感動は大きいと考えてのことでしょう。

他にも今回ゲストでここなつの2人が参加してくれましたが、彼女らの扱いにも良さがありました。SSPPでここなつは計3曲に参加します。この数が絶妙だと感じました。あくまでゲストはゲスト、長居はさせませんでした。それでいてここなつのファンもがっかりしないよう新曲と初披露の既存人気曲を入れてくる。特にコメントを述べるわけでもなくさっさと掃ける。私はここなつのファンですがちっとも不満はありませんでした。

 

演者がキャラクターを降ろしている

これはすごいなと思いました。演者がイタコのようにキャラを憑依させて彼女らが言いそうなこと、やりそうな仕草をいともたやすくこなしているのです。よくあるキャラの決め台詞的なものを何度も何度も使うあれではなく、即興で言いそうなことを言いそうな表現でやるんです。ひなビタ♪という作品はアニメ作品ではありません。声優さんがコンテンツに関わるのはSSPPのようなライブや生放送、動画配信に曲の収録、たまのドラマCD程度でしょうか。アニメにおけるレコーディングの部分がないのです。これは極論ストーリーを知らなくとも仕事をこなせてしまうということです。それなのに彼女らは日向美ビタースイーツを顕現させているのです。つまりあの膨大な量のFacebookをきちんと読んでいるんです。すごい。

そして私が思わず泣いてしまったのが、アンコール後のMC。日高さんが先頭に立っておじさんもといパパに次回ライブの開催を約束させたところ。彼女は「絶対、大丈夫だよっ!」と言いました。実のところ「私は絶対大丈夫」という言葉が嫌いです。なんとも無責任な印象が抜けないからです。塾講師をやっていたときも受験前不安がる生徒に絶対大丈夫と言ったことはありません、言いがちですが。

しかし彼女のその言葉にはそこはかとない安心感がこもっていました。この子となら絶対大丈夫なんだと、理由はありませんがそう確信できる強さがありました。それはまさに作中幾度となくこの言葉で周囲を、そして自分自身を勇気づけてきたまり花の姿でした。更に狙いすましたかのようなラスト「ぽかぽかレトロード」。不意に襲う「絶対、絶対大丈夫だよ」という歌詞にもう涙腺は耐えられませんでした。

 

売れる前から起用されている演者の熱

ひなビタ♪では一体どういう人選をしているのか分かりませんが、例えばNEW GAME滝本ひふみ役の山口愛さんを中学生の頃から、月刊少女野崎くんでブレイクするかしないかあたりの小澤亜李さんを起用しています。そんな経緯もあってか彼女らは「ひなビタ♪のおかげでー」と口を揃えます。こういう思いの強さが前述のキャラ降ろしにもつながっていそうですし、1つのライブに対する熱量がもう凄い。SSPPも運営だけでなく演者がしっかり意見して作られたと聞きました。どんなに売れてもひなビタ♪を第一に考えてくれそうな演者に支えられているのも大きな魅力です。

パスパレSS 白鷺千聖スキャンダル編序章

~芸能事務所 会議室~

 

彩「(こんなに朝早くから呼び出されたけど……どうしたんだろ?)」

 

マネージャー「早朝からお集まりいただいて申し訳ありません。今日は皆さんにお伝えしなければならないことがありまして……」

 

日菜「なになにー? どうしたのー?」

 

イヴ「なにやらタダゴトではない雰囲気を感じます!」

 

麻弥「確かに、良い知らせというわけではなさそうですね」

 

マネージャー「実は、来週号の週刊誌に白鷺さんのスキャンダル記事が掲載されるようでして……」

 

一同「えええええ!?」

 

彩「そ、それってどういう記事なんでしょうか……?」

 

マネージャー「ええ。こちらも詳しくは把握できていないのですが、男性と仲睦まじげに歩く白鷺さんの写真だという話です」

 

彩「千聖ちゃん、か、か、彼氏いたんだ」

 

日菜「でもアイドルが誰かと付き合ってたらマズいことでもあるの?」

 

麻弥「大問題ですよ、日菜さんっ! ジブンたちのファンの方々をある意味で裏切ることになってしまいますから」

 

日菜「ふーん、そういうものなのかー」

 

イヴ「それでチサトさんはなんて言ってるんですか?」

 

マネージャー「皆さんもご存じの通り、白鷺さんは現在映画のロケで海外にいます。役作りに集中したいからと連絡が取れない状態でして」

 

彩「困ったなぁ。千聖ちゃんから直接聞けないと、私不安だなぁ……」

 

麻弥「それに来週にはジブンたちのシングル発売が控えています。このタイミング……偶然ではなさそうですね」

 

イヴ「ズルいですっ! 私ギフンに燃えています!!」

 

日菜「あたしだったら絶対バレないようにするんだけどなぁ」

 

マネージャー「あっ、現地のスタッフからです。白鷺さんにもこのことは伝わっているらしく、皆さんに一言『心配しないで、みんなには迷惑かけないから』と」

 

彩「千聖ちゃんがそうい言うなら……信じて待つしかない、ってことですよね」